なんらかの理由で家庭にいられなくなり、
働かざるを得なくなった原則として15歳から20歳まで
(状況によって22歳まで)の子どもたちに暮らしの場を与える施設です。
生き生きと生活できる場、安心して生活できる場を提供し、
大人との信頼関係を通して社会で生き抜く力を身に付け、
子どもたちが経済的にも精神的にも自立できるように援助する事を目的としています。
児童福祉法第6条の3、同法第33条の6において、児童自立生活援助事業として、第二種社会福祉事業に位置付けられ、義務教育終了後、他の社会的養護(児童養護施設、里親、児童自立支援施設など)の措置を解除された青少年及び都道府県知事が認めた青少年に自立のための援助及び生活指導を行います。
実施主体は都道府県、政令指定都市となり、経営主体は社会福祉法人、NPO、一般社団法人、株式会社等です。全国で240以上の自立援助ホームが活動しています。
義務教育修了後の15歳~20歳までの者。 ※平成29年4月より、自立援助ホームに入居できる期間が、就学者自立生活援助事業と社会的養護自立支援事業という2つの事業が新設され、該当する者は、自立援助ホームに入居できる期間が(20歳の誕生日の前日までに入居した者に限り)22歳の誕生日の年の年度末までに引き上げられました。ただし、自治体によってはこの2つの事業を行わないこともありますので、お住まいの自治体にお問い合わせください。
家庭からの入居が43.3%と最も多いです。10代後半まで適切な養育環境で生活できていない可能性が示唆されます。日常生活が不安定な状況であり、学習意欲や対人関係などにも影響が出ていると思われます。児童養護施設など、他の施設等からの入居は合計すると36.5%となっています。
入居期間は1年未満が最も多くなっています。入居期間の平均は1.1年です。年々、平均入居期間は伸びている傾向にあります。入居期間が短い場合、自立まで至らずホームを退居する場合も多いです。
入居の理由は、父母からの虐待が全体の約半数を占めます。家庭からの入居が40%超ということを考慮すると10代後半まで虐待を受け、不適切な養育を長い間、受けてきたと言えるでしょう。また、父母の問題の半数が父母の精神疾患(全体の8%)であることからも、たとえ虐待などの状況でなかったとしても、不安定な生活状況であったと推測することができます。
就学している入居者は約40%、就職している入居者は約35%です。ただ、就学している入居者も生活費などの支払いがあるので、ほとんどが就学と就労を両立している状況にあります。奨学金や授業料の減免などの支援が手厚くなってきてはいますが、生活費などを自分で得なければならない状況には変わりなく、安定した生活をしていくことは困難な場合が多いです。また、就労も就学もできていない入居者が全体の25%超。入居経路、入居の理由から10代後半まで家庭内で虐待などの理由で適切な養育がされてこなかった影響がこのような結果として現れていると思われます。
自立援助ホームは、虐待、貧困など大変厳しく過酷な養育環境をくぐり抜けて来ている青少年たちに、安心・安全な生活環境を保障します。スタッフと生活を共にしながら、「食」「住」に始まり、「ごめんね」「ありがとう」「おねがい」という、あたり前の言葉がけを大切にします。また、彼ら一人一人の話しに丁寧に耳を傾け、自分の存在が受け止められていることを実感できるように配慮し、自分を大切に思うことのきっかけを作っています。
自立援助ホームに来た青少年たちは、今まで自分で選び、決めるという自立の出発点となる経験と失敗経験から学ぶという権利を保障されませんでした。入居時にまず、入居の意思を確認し、ホームと入居の契約を交わします。このことは、自分で選び、考えることの第一歩となります。
その後も失敗することもありますが、自分で考え行動し、その結果を受け入れる経験を積み重ねていきます。
青少年たちは、「あたり前の生活」や「主体性の保障」のある生活の中で、経験を重ねるとホームから離れて生活するという次のステップに進みます。
その際、彼らに「困った時はいつでも相談に来てよい」ということを伝えます。そのことは、彼らの「心の安全基地」となる覚悟と「適度に人に頼る」ことが社会生活には不可欠であると自立援助ホームが考えていることを意味しています。
また、転職、恋愛、結婚、子育て等のライフイベントごとの「人生の課題」に継続的にかかわることによって、「時間の経過が解決してくれること」を本人と分かち合うことができます。
ホームによって多少異なることがあります。
また、個々の課題に応じて約束事を設けることもあります。
ホームに来る子どもたちの7割以上は被虐待児で、誰も信じない、頼らない、なぜ生まれてきたのかわからない、そういう思いを心の奥底に抱えている子どもたちも多くいます。この子どもたちに必要なのは指導でも、お世話でも、管理でもありません。私たちは、先ずはそのままの姿(何もやろうとしない、意欲をもてない、良いとは言えない目標しかもてないといろいろありますが)を認め、受け入れることから始まります。そして、やる気になり、意欲的になるのを、ある程度認識し、目標がもてるようになるまで待ちます。何度かは失敗するであろうことを予測しながらも、彼らが選び、決断するまで待ちます。そして、彼らが決断したことを尊重します。私たちには良くないな、上手くいかないなと解っていても彼らが決断したことを尊重します。
当然、上手くいかないことや、躓くこともあるでしょう。しかし、人は失敗したり誤った体験をしながら成長していきます。その権利は彼らにもあるのです。そのことがきちんと保障されていることが大切です。ありのままを認め、本人の主体性が生じるのを待ち、出てきた決断を尊重し、失敗することを保障する、これが自立援助ホーム特有の基本的な関わり方であり、ここからスタートします。
入居を希望する青少年(本人の同意があれば、関係者でも可能)が自立援助ホームか居住地の児童相談所に入居の相談をします。
児童相談所のケースワーカーが面談し、入居希望者の意思の確認を行います。その後、入居を希望するホームの見学をしたり、スタッフからホームの生活様式や決まりなどを聞いたりして、実際に入居するかをケースワーカーと相談しながら決めていきます。 ※自立援助ホームに相談された場合は、自立援助ホームから所管の児童相談所に連絡し、その後、同様の手続きを取ります。
児童相談所から自立援助ホームへ、入居希望者の入居の可否を確認します。
自立援助ホームから児童相談所へ入居の可否を連絡します。
児童相談所から入居希望者へ、入居(委託措置)の可否が連絡されます。
入居(委託措置)が決まり、自立援助ホームでの生活が始まります。